ヘムレンさんに愛を!【ムーミン春夏秋冬】
3月1日(水)からムーミンバレーパークに新登場したヘムレンさん。いったいどんなキャラクターなのでしょうか?
ヘムレンさんってどんな人?
まず、ヘムレンというのは「そのヘムル」という意味で、ヘムルは種族の名前。つまり「ヘムル族のひとり=ヘムレンさん」で、原作に出てくるヘムレンさんはひとりではありません。
呼び名は巻によってまちまちで、『ムーミン谷の彗星』のふたりはヘムル、『ムーミン谷の冬』ではヘムレンさん、『ムーミン谷の十一月』ではヘムレンと訳されていて、すべて別のキャラクターです。
ヘムル族に共通する特徴は、ムーミン族よりも体が大きく、研究者気質だということ。
たいていのヘムルには収集癖がありますが、金目のものならなんでも大好きなスニフとは違って、特定のカテゴリーにこだわって集め、完璧なコレクションを目指しています。
パークのヘムレンさんは虫眼鏡と収集用の鞄を持ち、紫色のワンピースのような服を着ています。
新しくなったムーミンバイアラビアの食器をはじめ、ぬいぐるみなどのグッズでも、紫色の服でおなじみですね。
昭和アニメ『ムーミン』や平成アニメ『楽しいムーミン一家』などのアニメ作品では紫色の服を着たおじいちゃんとして描かれていましたが、人物像はそれぞれ少し異なります(新作アニメ『ムーミン谷のなかまたち』ではやや若めの設定です)。
小説のヘムルたち
原作小説に登場する順にピックアップしていくと、『ムーミン谷の彗星』に最初に出てくるのは昆虫を集めるヘムル。
彗星の正体を探る旅に出たムーミントロールとスニフ、その途中で知り合ったスナフキンを虫と間違え、図らずも危機から救うことに。
2004~2013年に販売されていたアラビアの紫色のマグにいたのは、このヘムル。おじいちゃんのイメージですが、よく見ると意外に若々しいことに気づきます。
同作の後半、ムーミンたちは、昆虫収集家のヘムルとは父方のいとこだという、別のヘムルと出会います。
この切手を集めるヘムルはムーミンたちに同行し、ムーミン谷へと向かいました。
そのままムーミン谷で暮らすことになったヘムレンさんは、続く『たのしいムーミン一家』で、切手のコレクションを完成させたのち、新たに植物収集に着手しました。
ムーミン一家とともに島へ探検に行ったり、みんなで釣り上げた巨大な魚マメルクを焼いて食べて始めてしまったり、騒動のもとになるヘムレンさん。
パークの新キャラクターも、新しいアラビアマグに登場しているのもこの人物です。
『ムーミン谷の冬』には、スポーツが大好きでホルンを吹き鳴らす大柄なヘムレンさん。
余談ですが、昭和アニメ『ムーミン』のヘムレンさんは複数のキャラクターの要素が採り入れられていて、切手を集めていたかと思えば蝶をコレクションし、らっぱも吹いていたんですよ。
変わり種としては、短編『静かなのが好きなヘムレンさん』(『ムーミン谷の仲間たち』収録)。陽気でおおらか(悪く言えば、無遠慮)なヘムル一族のなかで、彼はおとなしくて賑やかなことが苦手なタイプ。
パークのヘムレンさんの遊園地のモチーフにもなっているキャラクターです。
コミックスにはどんなヘムルが?
一方、コミックスにもまた異なる描写のヘムルたちが顔を見せています。
『ジャングルになったムーミン谷』には植物学者と動物学者。
動き回る謎のモノたちが植物なのか動物なのかを巡って、ふたりは激論を繰り広げます。
小説とコミックスの両方で描かれる植物研究家と動物研究家、見た目は少し異なりますが、同一キャラクターなのか別人なのかははっきりしません。
パークの「学び」を体験できるパークの新イベント「Hemulen‘s academy(ヘムレンズアカデミー)」のビジュアルには、このコミックスの植物学者の絵が使われています。
また、『彗星がふってくる日』には魚を収集するヘムルが登場。
こちらの姿はアラビアのアルファベットコレクションのOに(Mには『たのしいムーミン一家』のヘムレンさんも)いますよ。
ヘムレンさんと遊ぼう!
厳格だったり、研究に没頭するあまり周囲が見えなくなったり、ちょっととっつきにくいところもありますが、なかなか憎めない個性派揃いのヘムルたち。
フィンランド在住のムーミン研究家・森下圭子さんはブログ「フィンランドムーミン便り」で、「がんばれヘムレンさん」ほか、たびたびヘムレン愛(?)を綴り、「個性が重んじられる社会で」や「ムーミン遊びあれこれ」ではなんと50以上ものヘムレンさんフィギュアを使った楽しい遊びを披露。
実はうちにも大勢のヘムレンさんが……。
さあさあ、ヘムルたちが気になってきたあなた、スプリングフェスティバル2023開催中のパークへ、ヘムレンさんに会いに出かけましょう!
文と写真/萩原まみ(text&photo by Mami Hagiwara)